子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ
恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。
保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。
出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」
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☆ 責任を取らせる ☆
日本の責任の取り方は、辞職というケースが目立つような気がします。社会的地位の高い方が組織の長として組織の責任を、または自身の
不祥事の責任を取るという形で辞職を社会から迫られるのです。
責任=辞職という流れは、社会的地位を奪うという形で、法律に則ら
ない罰という印象が私にはあります。
「何か失敗したら辞めればいいんだろう!」「失敗したら辞めさせる」という罰として捉える風潮は、一見、潔し良しとも取れるかもしれませんが、子どもたちに対する教訓として望ましい傾向ではないと、私は思います。
親:「なんでこんなことしたの!?こういう結果になると思わなかっの!?・・・」
子:「いいよ!やめればいいんだろう。やめれば!」
というご家庭でのやり取りが聞こえてきそうです。
責任を取ることは、現状復旧することです。
子どもがミルクをこぼしたことを親が責めることは、ネガティブな会話を通して罰を与えていることに他なりません。
まず、こぼしたミルクを拭いてもらうことで現状復旧を実現することが大切です。
元の状態に戻るので、子どもとしては、次の行動の勇気が湧いてくるのです。マイナスからスタートすることは、かなりの負担を伴うことになるからです。
さらに、現状復旧は他人への迷惑も最小限に止めることができるので、セルフ・エスティームが低下することを防げます。
テストが終わると、ご家庭でも、学校でも、学習塾でも、テストのやり直しを課すことが多いでしょう。このテストのやり直しにも現状復旧の考え方や効果が期待できます。
間違えた問題をそのままにしておくことは、次のテストの取り組みは学習面でも、心理面でも、マイナス(失敗)からのスタートとなります。
しかし、テストのやり直しで、間違えた問題を出来るようになると、学習面でも、心理面でも、原点からのスタートか、うまくして、「実は現時点でも自分で解ける力があったんだ」と認識されれば、次のテストに希望と勇気がわいてくるはずです。
子どもへのアプローチは、親の叱咤激励というよりは、子どもが希望と勇気を実感できるようにはたらきかけることだと考えてみてはいかがでしょうか。
断然、お子さんへの対応が以前と異なるはずです。
☆ 私は自分自身に満足している?(内閣府:若者意識調査より) ☆
現在、多くの学校で、子どもたちの自己肯定感を高めようとする取り組みが盛んです。私もセルフ・エスティーム(自己重要感、自己有能感、自己好感)向上をテーマに学校や教育委員会、PTAなどの主催の会に講師としてお招きいただいています。
さて、2013年に内閣府が日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの13歳から29歳までの男女に行った調査があります。「私は自分自身に満足している」という質問に対して、他国では70%以上がYesを挙げているのに対して、日本は約4%という驚異的な低さでした。
次に、「自分には長所がある」という質問に対して、日本は70%弱がYesとやはり低く他国は75~93%ほどです。
さらに、「自分の親から愛されている(大切にされている)と思う」という質問では、強くそう思う人は、他国に比べ少ないもののYesに分類される回答は他国とほぼ同等の約84%でした。
また、「自分の考えをはっきり相手に伝えることができる」、「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」という二つの質問では、他国に大きく引き離される結果でした。
自分に満足する感覚や自分に長所があるという感覚が低ければ、自己主張や挑戦する意欲も湧かないのも当然かもしれません。だからこそ、子どもが自律するためには、子どものセルフ・エスティームを高める必要があるのです。
そして、セルフ・エスティームを高めるための興味深いデータとして、二種類の質問の相関を示すものがこの報告書の中にありました。
一つは、「学校生活の満足度」と「私は自分自身に満足している」の相関です。これによると、学校生活の満足度が高いグループが、明らかに自分自身に満足している割合が高いのです。
もう一つは、「自分の親から愛されている(大切にされている)と思う」と「私は、自分自身に満足している」の相関です。こちらも、「自分の親から愛されていると思う」グループが「私は自分自身に満足している」割合が高いのです。
如何に、学校や家庭の生活が子どものセルフ・エスティームに影響しているかわかります。
私たち親にできることは、子どもの「自分の親から愛されている」という実感を高めることです。もちろん、愛していることでしょう。大切なことは、それを子どもが実感しているかということです。
愛されていると感じるアプローチができているか、子どもの顔を観ながら振り返ってみませんか。
☆ 子どもへの意図的アプローチを継続する仕掛け ☆
PTAの講演などで、2年続けて講師の依頼して下さるケースがあります。2年目のアンケートの中で、「昨年も話を聞いて気をつけようと思っていたところが忘れてしまっていたので、再び聞けてよかった」とコメントをいただくことがあります。そんなコメントに出会うたびに、嬉しいような、寂しいような思いになります。歓迎して下さることはありがたいのですが、その方のためには、継続するまでの支援ができなかったと感じるからです。
次回は、こんなこと話してみようと思うことを先行でお伝えしようと思います。
子どももそうですが、継続することは、私達大人でも永遠の課題のようです。そこで、ちょっと保護者の皆さんが、お子さんへのアプローチで「これをしよう!」と決めたことを楽しく継続する方法を、「子どもを一日5回は褒める」ことを決意したという想定で、考えてみます。
1:記録に残す
日記のように、お子さんを褒めたことについて、記録に残します。子どものどんな行動を、どのように褒めたのか、その時のお子さんの様子を記入します。さらに、親として、その一連の事柄から何を感じたかを記録します。日記を書くこと、記録に残すことが好きな方向けです。保護者が自分の決意をいつも意識できるので、継続を促します。
2:スタンプカードを作る
日記は、ちょっとと言う方には、スタンプカードがお薦めです。達成できたら、スタンプを押していきます。何の見返りがなくてもスタンプがたまるだけでもやる気が高まります。
3:自分にご褒美
一日5回褒めることができたら、自分にご褒美です。普段我慢している甘いお菓子を一人でこっそり食べる。ちょっと高価なアイスを食べる。なんていうように、自分の為だけにご褒美です。2のスタンプを貯めてご褒美も良いかもしれません。ただし、食べる者はダイエット中の方には注意です。達成感とご褒美が相まって明日のチャレンジのエネルギーになるでしょう。
4:ペナルティを課す
一日5回達成できなければ、例えば1回〇円として、未達成の回数分貯金をします。貯まったお金は、子どもや家族が喜ぶことに使いましょう。また、達成できなければ、あまりやりたくないけれど、やれば自分や家族が喜ぶ行動を一つ選んで、実行しましょう。「運動していないなぁ」という方であれば、朝の短時間のジョギングなんかよいかもしれません。
以上が私の頭に浮かんだ例です。ポイントは、「一日5回褒める」という行動が生活の中に影響するもので、始めるにあたってワクワクするような仕掛けをつくることです。
「これいいなぁ。子どもにやらせよう!」と思ったあなた!
まずは、ご自分で実践してみて下さい。